毎日があっという間だった。
毎朝6時には起きてゴミを出し、朝食作りからスタート。
父の食事は時々お惣菜も入れたが、ほぼ毎食手作りでお粥と4から5品の副食。
ほんの一部の食事です。
まだ写真はいっぱいある。
すべてを刻みで準備して、お粥もお米から作る事に徹底した。
とにかく父に美味しいもの、好きなものを食べさせたかった。
ラーメン、焼きそば、牛丼、お刺身、ナポリタン何でも食べさせた。
父が好きだったもの全て。
これはナポリタンを食してる父。
こぼすことすら愛しかった。
このキャッチできるエプロンが秀逸だった。
でも、父はこぼしたものもちゃんと、スプーンで拾い上げて口に戻そうとしていた。
残すことができない時代に育った父を素晴らしいと思う。
糖尿病も腎臓病も心不全もわかっていたけど。一度取り寄せたおかずを出したら全く手を付けず。噛みごたえのないものは気に入らなかったらしい。
それ以来その取り寄せ食は未だに実家の冷凍庫に眠っている。
父は、なかなかスプーンを置かないときはまだ足りないんだろうな。という予測がつき、父に「足りない?」って聞くと、必ず「あれば食べる」と答える。
そう言われるとお粥やおかずを少し足して食べるくらい食欲はあった。
朝のヨーグルト昼のバナナ1本も必ずつけて、おやつの時間には大好きな甘味物。
美味しそうに食べる父を見ているのは嬉しかった。
ご飯の前に必ず血圧体温呼吸の酸素度をチェック。おむつを変えてご飯。
朝ごはんが終わると片付けて、歯磨きとひげそり。ひげ剃りは父の大切な朝の行事。
幼い頃から仕事に行く前に洗面所で必ず髭を剃り、小さい頃はジョリジョリした頬を子供たちにすり寄せて、嫌がられるのを喜んでいた父。
皮膚が弱いのでジェルつけないと剃れないのもあって時間はかかる。
でも、温かいタオルで終わったあとに顔を拭き取るとサッパリした父の顔が戻ってくる。
午前中に着替えや手足を拭いたり。マッサージ。手足の運動。
そしてまた昼ごはんの準備。
昼が終われば着替えや傷の手当。
夕食準備や、買い物。
本当にあっという間に1日が終わり、私は22時過ぎには落ちるように眠りについていた。
必ず1時30分から2時には起きてオムツを替えに起きていく。
その時間が大変なようで。今でも目が覚めるくらい不思議と楽しかった。
父は眠れないのか、しっかり起きていることも多く、夢を見ていた話や痛いところの話などしながら。体の向きを変えて全身のマッサージと寝衣のシワ伸ばし。
父は「もうええ」って嫌がる中に、私の思いを貫き通してしまった。職業としてのプライドが先立ってしまうという。「シワがあると嫌なんよ私」と。
そして。叶えたかった家の片付けや、叔父の急逝で父の遺影をちゃんとしたいという思いで整理をしつつそれも考えて決めていた。
今となってはその片付けや、遺影を選んだことが、私自身を責めている。
そんな事をしたからだとも。
棒のように体に力が入りなかなか身体の向きを変えたりオムツ交換ができないため、
「お父さん!力抜いて!力入れると重くなるんだよ。だから、タコさんみたいにフニャフニャ力抜いて」と、父の前でタコ踊りをしてみせたり。
オムツ交換中につい出てしまったものを「くさいねかぁーでも、出るもんはどんどん出していいんよ」って笑いながらいうと、父は片手でゴメンゴメンって合図。
ヘッドの高さの微調整が難しく上げたり下げたりをすると、いい場所になると、👌手で丸を作ってオッケーサイン。
近くに兄(兄も車椅子生活)がいても、必ず私を呼びだし、頼られているのは嬉しかった。
でも、流石に仕事もたくさん持ち帰っていて。合間を見てやろう。なんて思っていたけど、片付けと介護で全くできず。
デイサービスを週2回入れたのだけど、移動することで皮膚がずりむけてしまうため、行かせないほうが良いと言われてしまい、お風呂に入るのを楽しみにしていた父の楽しみも。私の持とうとした時間もなくなった。本当に24時間介護となった。
でも、お風呂だけにはなんとか入れたい。ケアマネさんに相談すると在宅入浴を手配してくれ、その週にはサービスに来ていただくことになった。
初めての在宅入浴は本当に感動した。全身を見ることもできるし、何より父が、そろそろ上がりましょうか。というと「もうちょっと」と言うくらい喜んでくれていた。
しかし、全身の皮膚がむけているため、父は痛いのと気持ちの良さと戦いながらの入浴だった。
入っている間にシーツを変え、パジャマの準備と洗濯。
そして上がると傷の処置すべて終わるには1時間30分以上はかかったけど、嬉しい気持ちが勝っていた。
日に日に1ヶ月の折り返しがくると、寂しくて仕方なくなってきた。
すっとこのままでもいいかな。
って思えるくらい楽しかった。
ただ食事をとる時間がないこともあり2週間で体重がゲッソリしてしまい友達にも心配されてしまった。私としてはとっても良かったけれど。